CASE-1〜3の大雑把な感想、後編をやった順で。
CASE-2
身分違いの恋と才能の開花、経済力や身分に由来する避けられなかった別れ。このシナリオ自体が舞台の演劇のような展開で、当時ありふれていたかもしれない悲恋のひとつが描かれている。二人は想いあったまま別れきっと二度と再会することはないが、それでも互いを想い続けることはでき、ウィルの名声がいつかオリヴィアに届くかもしれない、という救いがあるともないともいえる絶妙な結末。
CASE-3
行き詰まりを感じつつも亡き母のやり残したことを闇雲に追い続けていた少年が、ヒロインとの出会いを経て自分の本当にやりたかったことや進みたい道を見付けて呪縛から解放される、ひと夏の出会いと別れの話。
別れで終わってはいるが、いずれ再会できる未来もあるかもしれない、それを目指したいという希望のある結末。 CASE-3 だけ本当に爽やかな青春モノという感じでずるいぞ (?)
CASE-1
才能もなく家庭に愛もない灰色の生活を送っている男が、才能の塊だった人の娘と出会うことで才能や希死念慮と向き合い愛情を知る的な話。不倫だけあって最初から鬱屈しているというかドロドロしそうな感じではあるが、主人公とヒロインの関係だけ見るなら結構 (余計な属性はつくが) 純粋な愛ではあると思う。
しかしこのシナリオは終わり方がズルい。学園に通う限りまだ互いに手の届く場所にいるはずなのに、シナリオがそこで終わることで、これが二人の別れとなることが暗黙にしかし抗いようもなく描写されている。メタな圧力というか強制力がある。主人公は結局ヒロインの側にいることができないし、ヒロインもまた死の縁から社会に引き戻してしまった主人公のことを思うと独りで生きていく選択をするしかなかった。二人がおそらくは自発的に別れを選択し、それでも人生は続くし子供は産まれるし互いへの愛が冷めたわけでもないという、ある意味では一番やるせないルートかもしれない。
全体
3つとも別れで終わる物語とはいえ、温度感が全然違ってびっくりする。言ってみればパターン化された典型的な悲恋である CASE-2、別れではあるものの終始明るく希望のある CASE-1、しがらみや漠然とした救いのなさの中で足掻き救われるものの理想を目指して終われるわけではない CASE-3。順番や好みによってかなり読後感に差がでるのではないかと思う。私はどれも好きだったし、2の典型ケースで慣らして1で箸休めして3でズッシリやられたのは良い順番だったと感じる。